入社して1年半で書く雑感

 

社会人となり約1年半が経った。

4月に入社して3日間基礎研修があったが、4日目からはすぐに会議に駆り出された。私はFP&Aという一応専門職とされる部署に配属され、毎日はほどほどに充実していた。ただ、学びの量とは裏腹に、モヤっとしてしまうことも多い。実は1年半で別の領域に異動することになり、キリの良いタイミングで、入社して良かった点とともに、もやもやポイントを言語化しておきたい。

 

そもそもなぜ入社したか

元々は、近い将来に自分で事業を立ち上げたいと思ってたので、最先端の事業が立ち上がる瞬間が見れるであろうVCに入社したいと思っていた。

新卒を募集している会社が自分が就活を始めた3年生の11月には1社しかなく、年末から本腰を入れて準備をしていったのだが、最終面接で不遇にも落とされてしまった。その後は就活をする気もなくなり、適当にメガベンチャーメガバンク、商社などを受けようと思い準備をしていた。その時、偶然にも今の会社の人事の人と面談をする機会があり、結局はその人に毎週のようにMTGを設定された挙句、次第に軸も定まり入社することになった。

当時は以下の3点を軸に評価しつつ、Job seekingをしていた。

①職種別または部門別採用でTech/Financeに強くなり、自分のチップを自分で置ける流動性の高い人生を送れるようになること

②きつく縛られずに働けること(なるべくワークスタイルや居住地などを自分で選びたい、上下関係が厳しいのが得意ではない)

③オリジナリティを残しつつも、ある程度大きい会社であること(大学時代にベンチャー3社で働いた上、両親が個人事業主なので、一度は数百人規模の会社で働いてみたかった)

 

人事の人と話した際に、「うちの会社は今年から部門別を始めて一期生を募集している」「今でも起業家精神は根強い」「企業としての転換期で非常に面白い時期」と言われ、自己の3点の軸に当てはまっていたこと、大学時代のサークルの際に最も尊敬していた先輩が出身としていたことも重なり、みるみるうちに引き込まれていった。

最終的にはファイナンス部門という枠で採用され、内定の電話をもらった際に、「ファイナンス部門での採用だったら入社しますが、それ以外だったら入社しません!」と宣言して受諾した。入社して1年経ってから、上司の人に「人事にめっちゃ生意気な人が入ってくると言われていてビクビクしてたw」と言われたのも、そういったコミュニケーションが問題だったのかもしれない。

そんな私が、入社して期待通りだったことと、期待通りでなくもやもやとしたことを説明していきたい。

 

期待通りだったこと

1/新卒1年目にしては大人の方々とやり取りをする仕事をしており、裁量権が比較的大きい

私は現在、FP&Aとして、事業のKPIやPL数値を取りまとめ、事業内と本部の2つのレポートラインに報告する仕事をしている。「取りまとめる」とは、コストごとに前提となっている情報を各地から収集し、各事業部と調整するという泥臭い作業を指す。具体的に言うと、

①トップラインは営業企画が作成したものを受け取る。

②売上連動原価分は各変数積み上げ、確度が低い場合は率料で計算、非連動原価は各情報を元にFP&Aで試算。

③戦略的なコスト(販促・広宣費や、業務委託費などのITコスト)は各事業の担当者に作ってもらいレビュー。例えば販促・広宣費の中でもSEO対策費はコンテンツマーケG、CM放映/制作費はブランドマーケGなど、大企業にもなるとそれぞれの担当者がいて、金額を集めて積み上げることになる。

④非戦略的なコスト(営業の出張費など)は過去の実績と最新のトレンドをもとにFP&Aで試算。

といったことを行う。

各事業部でPLの責任を持っている人は基本マネージャーレベルだが、そんな大人の方々も結構間違っていたりすることが多く、レビューせずにそのままの数値・情報をチームメンバーに説明してしまうと「どういうこと?」と混乱を招く(最初の半年はそればっかりだった)。

ゆえに自らが腹落ちして説明できるまで一次情報を収集し、疑問点があれば逐一伺い、筋の通ったロジックでチームに、そして資料上でボード陣に説明する責任がある。

定常の毎月同じように発生する業務と、半期に一度発生する3カ年の事業計画策定業務があり、前者は月次の実績が出てから最終的に報告・提出するまでの一連の流れを経る。後者は月次での分析・報告をやりつつ、2〜3ヶ月間ぶっ続けで(=つまりは、3ヶ月×2回の6ヶ月間は事業計画策定に時間を充てている)事業戦略の新規作成・修正に伴う数値的な事業計画の作り直しを行う。また同時にスポットでの全社横断プロジェクト(こちらは基本的に一時的な対応するのみ)が進行する。

要は上記のすべてのタイミングでいろんな人とやり取りし、自分でPLを作成し提出し、説明しなくてはいけないので、事業の全体像が見れて純粋に面白い、というのが仕事自体の感想である。

2/部署メンバーの推進力が非常に強く、刺激的

スタッフ部門にしては(?)、推進力の強い部署だなぁ、と思う。チームメンバーの方々は、ゴリゴリに現状の予実分析フロー改善しようとしてたり、事業の「パンドラの箱」を開けまくって整理し直したりしてるので、尊敬の心しかない。加えてハードワークである(棒読み)。

3/成果だけ出していればとにかく自由

社内には成果至上主義的な風潮があり、成果さえ出していれば何をしていても大丈夫、とされている。休みも多いので、自主勉強している期間が 多く、年末年始はChatGPTとずっとお話ししていた。3点目薄いな。

ただ以上で褒めすぎてしまったので、評価を下げていきたいと思う。

良くなかったこと

1/調整仕事が多く、エンドユーザーからあまりにも遠すぎて「価値を作り出している感」が皆無

とにかくこれに尽きる。まず社内のコミュニケーションコストが非常に高い。複数部署の人に最新のコスト状況を聞き回ったり、細かい支払処理の方法に関して毎日のように届く質問に答える日々が続く。当初は「支払方法をなぜ新卒に聞くんだ、自分で考えてくれ」と嘆いていたのだが、組織構造的に経理は少し距離があり事業部の人にとっては聞き辛いのと、管理会計上、そうは問屋が下さないらしい。

そして社内のコミュニケーションに終始しているため、「コトに向かえていない感覚」feat.DeNAが半端ない。「誰のためになっているのだろうか?」という疑問が、家で1人で作業してる瞬間にふと湧いてくる。最終的に、「えらい人たち」に資料が届くらしいが、誰のためになっているのかどんなに考えてもグループ内のメンバーの顔が薄っすら思い浮かぶだけなので、社内の顧客、という言葉にもあまり実感がない。

2/FP&Aが専門職として成熟していない

企業にもよると思うが、弊社におけるFP&Aは、想像以上にジェネラリスト的性格の強い職で、数万行にも渡るエクセルのローデータを眺める忍耐力があればおそらく誰でもできる。

エクセルをいじって、思考をし、説明する。これは社会人が最低限持っているスキルセットだと思うので、「専門職」として扱うにはより社内需要を満たすような何かしらの特殊要因、例えば事業ドメインごとの複雑なROI式を算出して事業の投資回収可能性をコントロールできるとか、過去推移を踏まえて営業生産性を測定し、打ち手を思案するなどのプラスアルファがないと、ジェネラリスト的立ち位置を抜け出せないと私は思う。

ここはノビシロである。

結論

全然悪くないけど、物凄く良くはない!